kanuazutのblog

よわいエンジニアの備忘です

2024年5月読書感想文

5月に読んだ本の読書感想文です。

スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ

満足度:★★★★★

エンジニアの端くれでありながら、スタッフエンジニアという言葉に馴染みが無かったので読んだ。結論としては今の自分に必要な本だった。必要なタイミングで読むことが出来たので非常に満足。

本書では、スタッフエンジニアの役割や立ち位置の概要を説明したのち、一線級の企業でスタッフエンジニアの役割を全うする人の働き方をインタビュー形式で紹介している。後半のインタビューがメインの内容といっても過言ではないと思う。インタビューの中には示唆に富む言葉も多い。納得する言葉もあれば、首を傾げる言葉もあるが、総じて為になる内容だった。様々なパターンのスタッフエンジニアが登場するため、自身の環境や志向に合うスタッフエンジニア像が一つは見つかると思う。

普段の仕事の中ではチーム内での役割や担当内での有識者としての位置取りなどを意識することが多いが、スタッフエンジニアのような上級エンジニアになるにつれて、組織全体の中でのポジショニングを意識することが重要であることを再認識した。また、単にキャリアを進めるにしたがって視座を高めればよいという話でなく、目指すポジションが右腕なのかテックリードなのかによって注視すべき対象はチームメンバにも企業進路にもボスにもなるし、動き方は個々の環境で変化することもイメージできた。

本書を通して、漠然と思い浮かべていたテックリードプリンシパルエンジニアのイメージの解像度があがるとともにスタッフエンジニアというものの外殻をとらえる事ができた。月並みだが、スタッフエンジニアに唯一の正解はなく、組織ごと、個人ごとに正しいスタッフエンジニアとしての在り方があるのだと思う。

違うタイミングで読むと違う感想になると思うので、またキャリアが進んだ段階で読み返したい。

ユーザーの問題解決とプロダクトの成功を導く エンジニアのためのドキュメントライティング

満足度:★★★☆☆

ITエンジニア向けのドキュメンテーションの啓蒙書。
本書で対象としている文書は、APIリファレンスやReadMe等の公開文書。設計書等の開発ドキュメントではないため注意。
自社でプロダクトやサービスを抱える企業にとって、デベロッパ向けドキュメントの明瞭さはプロダクトの利用推進に関わってくるため死活問題であり、テーマ自体は興味深いものだった。

本書の内容を一言でいえば、ドキュメントを利用する人の目線に立ってライティングしようということ。書かれている事項は、言われてみれば当然のことばかりではあるが、まとめられていることが大切だと思う。
プロダクトをユーザに利用してもらうという目的に立ち返ればドキュメントが重要なのは自明だが、単にタスクとして執筆に取り組むと忘れがちなので、ドキュメントのセルフチェックや自戒のために本書を使うのもありかなと感じた。

実際のドキュメントライティングでは、公開されている類似プロダクトの良いドキュメントを探して参考にすれば事足りる場合もあると思うので、本書を読んだ方が良いかは好みになるかも。



クラウドデータレイク

満足度:★★★★☆

クラウドデータレイク入門
書籍のタイトルに入門という言葉はないが、オライリーの他の入門書と同レベルの内容。「データレイクとは何か」から学び始める人向けとしては、よく整理されていて良い。

内容はデータエンジニアリング系の本を読んでいれば、どこかで見聞きしたものが多い。
多くの本から少しづつとってきて集約している感じにも受け取れるので、その分野の人が読むと既知の内容が殆どだと思う。
AWS BigData AnalysisとかGCP Professional Data Engineerとか、パブクラのデータ系資格を持ってる人にとっても今更感があるかもしれないが、知識の再整理には役立つと思う。


前半はデータアーキテクチャに関する概況が説明されており、その中には知らないものもあって読むのが楽しかった。
後半は具体的な技術や運用を意識したアーキテクチャのキーポイントを説明している。
キーワードレベルで関心のあったテーマを記載しておくと以下の通り。

  • BigDataの3V⇒6V
  • 将来の変更にも耐えうるフィーチャープルーフ
  • データメッシュアーキテクチャへのカルチャーシフト
  • 生データ・クレンジングデータ・キュレーションデータなどのデータレイヤをデータゾーンと呼ぶこと
  • データオブザービリティ5本の柱
  • Parquet, DeltaLake, Icebarg, Hudiなどの仕様

特に最後の2つは興味深い内容だった。

なお、ParquetはDeltaLakeやIcebargの前提説明として登場するが、AvroやORCの説明はない。HadoopやSparkに関しても概要説明はあるが、技術的な説明はない。
基本をおさえた良い内容ではあるが、技術面での網羅性は高くないのでその点は留意。

UMLモデリング L1 第2版

満足度:★★★☆☆

UMTP認定試験の勉強用に読んだ。
出版日は古いですが、内容に問題はなく特に不満はない。
あくまで試験対策本という感じで、UML自体について学びたければもっと新しい良書があると思う。

図解 人材マネジメント入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ

満足度:★★★☆☆

ゼロから学ぶというタイトル通り、かなり平易な内容となっている。
新卒社会人や畑違いから人事業務に就く人が、速攻で最低限の内容を押さえたい時に読むと良さそう。

1つ1つのトピックが数ページ+図解1ページという構成になっており、隙間時間で読み進めることが出来るのはよい。珍しさ目新しさはないけど、その分爆速で読むことができる。
悪く言えば薄味の小盛りであるため、人事部で人事制度設計をやっていく人やある程度の規模の組織で管理職を担う人には物足りないと思う。

個人的には入社研修で教わった内容が多かったため少し退屈な部分もあったが、復習にはくどくない分量で、自社の人事制度の妥当性を見直すきっかけとなってよかった。
また、教育心理学本で見たことのある内発的動機付け、外発的動機付けに近い話(内的報酬、外的報酬)が登場していたことも興味深かった。





満足度の判例

満足度 基準
★★★★★ 非常に満足。繰り返し読みたい。
★★★★ 満足。興味深い内容。人にも薦めたい。
★★★ 何かしら知見や洞察、内省の機会が得られた。
★★ 今の自分に必要な本ではなかった。
自分には合わない。読む必要はなかった。